アダプテーション

2002年公開、『マルコビッチの穴』で注目された監督スパイク・ジョーンズ、脚本家チャーリー・カウフマンが仕掛ける新しいコメディ映画。主演のニコラス・ケイジが双子の2役で、チャールズ・カウフマンと架空の兄ドナルド・カウフマンを演じている。他にもメリル・ストリープ、クリス・クーパーが出演。クリス・クーパーはこの映画でアカデミー助演男優賞を、チャールズとドナルドの連名で脚本賞を受賞した。

『マルコビッチの穴』で高い評価を得たチャーリー・カウフマンは次回作としてスーザン・オーリアンの著書『蘭に魅せられた男』の脚本を頼まれた。しかしチャーリーはスランプに陥ってしまう。逆に何時も陽気で前向きなドナルドは1本の脚本を完成させる。焦ったチャーリーはシナリオ講座に通い、ついにスーザン・オーリアンに会いに行こうとするが……。

前半は虚構と現実が入り交じり、またチャーリーのハゲ・デブの自虐ネタ(つまりチャーリー・カウフマン本人)が続く。少々もっさりした展開だが、この独特の雰囲気はマルコビッチの穴で感じたものにかなりテイストが近い。
後半のアクションは蛇足のような気もするが兄弟がお互いを理解するシーンもある。後半、講師のマッキーに「この脚本のテーマは失望」と語るが、チャーリーは後半は全てに失望し、そして大切なものを得る。
全体的に皮肉に満ちていて、脚本家をバカにしているような節もあれば、どれだけ大変な思いをしてき本を書ているか訴えかけているような感じでもある。
どちらにせよ、観る人間を選ぶ作品であることには間違いない。
総合評価6点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ゴシカ

2003年公開作品。出演はハル・ベリー、ロバート・ダウニー・Jr、ペネロペ・クルス、チャールズ・S・ダットン。制作は『ダークキャッスル・エンターテインメント』。

夫のダラスが管理官を勤める女刑務所、ミランダはそこの精神科病棟で勤めていた。しかし大雨のある日、帰宅途中に立っている少女を避けようとして事故にあってしまう。目が冷めた時、ミランダは夫のダラスを斧で殺害したとして自分が勤めていた病棟に収容されていることを知る。しかしその記憶は全くなかった。いったい、自分に何があったのだろうか……。

そうそうたる俳優陣が出演しているが、残念ながら凡作に留まっている惜しい作品。恐らくサイコホラーに分類されるのだろうが、矛盾点が多すぎて萎えてしまう。
ただハル・ベリーの迫真の演技は観る価値がある。ペネロペ・クルスも汚れ役をこなしていて非常に贅沢。それだけにもっと本が良ければと思う。曲がりなりにもミランダは夫を殺しているんだから、ラストのように何もなかったように復帰は出来ないと思うんだが。
舞台設定、演出、そして俳優と成功要素は揃っているだけに、もう少し脚本を練っていれば一級品に昇華できただろうそれが残念である。
総合評価5点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

バタフライ・エフェクト

2004年公開作品。主演はアシュトン・カッチャー。カオス理論、バタフライ効果をモチーフにしているが、内容的にはさほど関係がない。

エヴァンは子供の頃、時折記憶を喪失することがあった。その治療のために長年つけていた日記。大人になってからそれを読んだとき、失っていた記憶を辿るように過去に戻ることが出来た。
好きだったケイリーや狂ってしまった当時の友達の過去を変える為にエヴァンは過去へと戻るが、運命は次第に最悪に向かっていく。

過去を思い通りに変えることが出来たら、より良い未来を作ることが出来るのだろうか。そんなことを誰もが考えたことがあるだろう。そんな想像をそのまま映画にしたのがこの作品。
過去を変えることをテーマにしていることは知っていたが、実際にどうするのかその方法には興味があった。下手なタイムマシンのようなものが出てくれば失望するところだが、失った記憶を辿ることで過去に戻るという手法が斬新だった。
変わった未来で悪人が善人になっていたりと色々と面白い設定やストーリーが展開される。また過去に戻る度にどんどん未来が悪くなっていくのも象徴的だ。“全てをなかったことにする”というラストに集約する結末はちょっと哀しい。
もっともストーリー展開が主人公の周囲のみにあってどこかこじんまりしていて、さらにどんな未来でも主人公だけは妙に満たされた存在である(爆発によって手足を失ってしまった未来でも生活そのものは満たされていた)のが、どこか“結局は自分の良いようにだけ未来を変える”身勝手な感じがしてならない。
展開のテンポの良さや良く練られた本、映画としての出来は良いほうだと思う。
総合評価7点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ダ・ヴィンチ・コード

その内容が“事実に則している”という触れ込みで物議を醸した大ベストセラーの同名ミステリー小説の映画化。主演はトム・ハンクス、他にイアン・マッケラン、ジャン・レノなどが絡む。監督はロン・ハワード。

ルーヴル美術館で遺体で発見されたソニエール。遺体はダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を模していた。ハーバード大学の教授ラングドンはファーシュ警部の呼び出され助言を求められる。そこにソフィー・ヌヴーが現れてラングドンに忠告する。ソニエールの残したダイイング・メッセージにはラングドンの名前が書かれていて、ファーシュは彼が犯人だと思っているのだった。ソフィーと共に美術館を脱出したラングドンは、ソニエールのメッセージを辿り、事件の真相に迫っていく。そこにはキリストの常識を覆す謎と、それを示すダ・ヴィンチの残した暗号(コード)があった。

世界中で大ヒットした原作の映画化だが、俺が原作を読む限りでは文章力も大したことなく(これは訳者の力量によるところが大きいと思うが)、謎解きもちょっとかったるかった。だからトム・ハンクスが好きだからという理由以上にこの映画を観る気にはならなかった。
出来は大作然としていて悪くない。内容も判りやすくてテンポ良く進む。ただ、どうも表層的な部分だけを飾ったような薄っぺらさが拭えない。それは衝撃的な内容を扱っていながらハリウッド映画的な甘いノリで終始しているからだろう。
そんなに力を入れなくて観られるが、それ以上になれずに留まってしまっている。
総合評価7点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

薔薇の名前

1986年、公開作品。出演はショーン・コネリー、クリスチャン・スレイター。監督はジャン・ジャック・アノー。かなり難解な作品である。

ある修道院で起こった殺人事件の調査を命じられたウィリアムとその弟子のアドソ。修道院は閉鎖的で何故か妨害もされる。次々と死者が出る中、ウィリアムは書庫に秘密があると睨む。一方、事件は異端審問の様相を呈し、アドソの関わった貧しい村娘も火あぶりになろうとしていた。果たしてこの事件の真相とは……。

中世修道院の雰囲気が詳細に再現されていて、資料的価値も非常に高い。様々な作品に影響を与えていて、それは三浦健太郎の『ベルセルク』でも見ることができる(特に“生誕祭編”ではそれが顕著にでている)。
宗教の歴史的な背景や内容と深く関わっていて、謎解き以前にストーリーやテーマが非常に難解になっている。しかしサスペンスとしては一級品であることは間違いない。特にファンタジー好きなら絶対に見逃せない作品のひとつとして上げておきたい。
総合評価8点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

怨霊の森

2006年、アメリカ作品。日本では未公開。出演はアグネス・ブルックナー、その父親役として『死霊のはらわた』シリーズのブルース・キャンベルが出ている。

60年代、自宅に放火したとしてヘザーは深い森の中にある全寮制の女学院につれて来られる。不思議な試験に合格してここで暮らすことになったヘザーは、気弱な少女マーシーと仲良くなるが、彼女をいじめていたサマンサに目をつけられる。窮屈な学校生活、どこか不気味な教師、何もかもがヘザーの肌に合わない。そんな時、ヘザーは森と女学院にまつわるある噂を耳にする。そしてそれはヘザーにとっても関係の深い、恐怖の始まりだった。

森の雰囲気は実に恐ろしく、また窮屈な寮生活や多感な時期の少女などの描写も非常に良くできている。しかしヘザーの特殊な力の描写など伏線の見せ方が不足していてどのシーンもかなり唐突な印象を拭えない。
ラストの大立ち回りも、少女が斧を持って教師を躊躇なくめった斬りにできるのか(緊迫した状況で、しかも相手はバケモノなのであるが)、とにかくツッコミどころが多い。
前半の雰囲気と違って後半は急激な展開となっているが、木々が不気味に蠢くところはCGっぽさもなく、意外と映像は良い。それだけに全体的にちぐはぐなまとまりのない感じが際立ってしまっている。ラストの微妙な映像も雰囲気を壊してしまっている感じだ。
総合評価6点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ライディング・ザ・ブレット

原作はスティーブン・キング。2004年アメリカ。原作は最初、ネットからのダウンロード出版として注目された。

1969年、母が脳卒中で倒れたとの知らせを聞き、ヒッチハイクで母のもとに向かう一人息子のアラン。ハロウィンの真夜中のヒッチハイク、つかまる車に乗っているのは怪しい男ばかり。徐々にアランの周囲に死の雰囲気が漂い始める。そして途中に立ち寄った墓地の墓碑に写真があった男が現れ、アランに母親の生命か自分の生命かの選択を強いる。アランの選択は……。

スティーブン・キングの作品はよく映像化されるが、特にホラー作品で成功例は少ない。それは原作の描く恐怖そのものの具現化を映像で作り出すことが極めて困難だからだろう。そんな中でもこの作品は、決して大作ではないがなかなかの拾い物だった。
幼い頃に父を亡くし、恐ろしい体験によって昔の陰を引きずっているアラン。彼が道中で経験する恐怖からもう老人となってしまった彼の余韻たっぷりのラストまで、フラッシュ・バックで語られる母親との繋がりや子供の頃の体験などひとりの男が自分の中の恐怖、トラウマを乗り越えていく人生のドラマを描いている。
期待して観たわけではないが、予想を大きく裏切られる良い映画だった。
総合評価7点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ブラザーズ・グリム

2005年公開、監督テリー・ギリアム、出演マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ。
グリム兄弟の活躍を描く。グリム童話からの引用も多く、全体的にCGを多く使った派手な映画となっている。

18世紀。弟のジェイコブの過ちで妹を失ってしまったグリム兄弟。それから年を経て、大人になった兄のヴィルヘルムはジェイコブと共に各地で魔物退治をしながら旅をしていた。
しかしペテンを見抜かれ、二人は囚われてしまう。罪を免れるための条件として命じられたのは、少女が何人も行方不明になっている村に向かい、事件を解決すること。
仕方なく二人は村に向かうが……。

マット・デイモンが妙にしゃべりまくる役をやっているが今までになく、ちょっと面白い。グリム童話からの引用は原作を読んでいれば色々と楽しめる。
ゴチャゴチャしていてまとまりに欠ける感じもするが、派手な娯楽映画として何も考えずに観ることができる。それに耐えるだけのクオリティを持っている。
総合評価7点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ホスピタル

2005年公開作品(日本では未公開)。B級ホラー映画だが怖さはそんなにない。幽霊によるボディ・スナッチものと言えるかも知れない。

ハロウィンの夜、廃墟の病院で肝試しをしようとやってきた若者たち。その時、主人公の女は不思議な記憶のフラッシュバックに襲われる。仲間たちに促され、嫌々ながら病院に入る主人公。しかし扉が閉まり外に出ることができなくなる。エレベータは3階にしか停まらない。そこに待っていたのは……。

人間解体! とおどろおどろしいキャッチがついているが、内容的にはそんなに恐ろしくはない。ただ取りつかれて死んだ人間の体がドロドロに溶けていくのはちょっとグロい。
主人公と母親、病院との関わりや、ナースと患者とのやりとりなど、謎解きや伏線の見せ方は悪くない。しかし全体的にそれが薄っぺらくて唸らせるような演出もなく、かなり中途半端な作品になってしまっているのが惜しい。
総合評価3点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

蝋人形の館

R15指定、主演はエリシャ・カスバート。ダークキャッスル・エンターテインメントの制作。
もう、名前からしてネタバレ。元々が古い戯曲が原作、3度目の映画化である。だから問題なのはどう観(魅)せるか、という点に尽きる。
主演のエリシャ・カスバートは『24』シリーズへの出演で有名となったが、この作品でもちゃんと存在感を見せていると思う。

大学のフットボール観戦のため車を飛ばす6人の若者。しかしキャンプ場で一夜を過ごした翌朝、誰かに車を壊されていた。カーリーは恋人と一緒に近くにあるという街、アンブローズに向かう。カーナビにも載っていないこの街は人気がなく静まり返っていた。そしてそこには精巧な蝋人形を飾る、全体が蝋でできた館があった。カーリーの兄ニックや他の友人たちもやってくるが、彼らに悪夢が迫っていた。

制作している『ダークキャッスル・エンターテインメント』はロバート・ゼメキスとジョエル・シルバーが共同で設立したホラー映画専門の制作会社。それだけに金がかかっていて、かなりの大規模なスペクタクル映画となっている。
だからB級カルトにありがちなショボい演出や作り物感丸出しな特殊効果というのはなく、特に後半部分はかなり派手になっている。
伏線もこなれた感じにまとめられ、カーリーとニック、ボーとヴィンセントという双子の兄弟の愛を対照的に描いている。
大作ではないものの、安心して観られる作品となっている。ただしかなりグロいシーンもあるのでその点だけは注意。
総合評価6点(10点満点中)。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

«ダーク・ウォーター